風に吹かれて

日常の出来事、思い出、などを綴ります

父そして4輪の花

                                 
                                 

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        『女性は いつまでも綺麗にしていろ』 とは、父の口癖であった。


       
       実家は 洋服仕立て業だった。横文字でいうと オーダーメイド業。
       学齢期、学校の提出物にオーダーメイド業と記入するのが誇らしかった。
       ハイカラで 誰も使っていない言葉。 
       
       
       父が 洋服の仮縫いに お客の家に伺うことが しばしばあった。
       訪ねると そこには 奥さんも待機していて お化粧もせずにいる姿に
       幻滅を感じたという。
       
       
       母はといえば、美容部員が 喜ぶような、色黒、しみ、そばかす・・
       と なんでも  ひと通り取り揃えていた。
       なので 父は いつまでも綺麗にしていろと 口癖のように言っていた。


       
       お花が 4輪・・、姉、私、妹ふたりの4人の お花。
       お花に例えるあたり 父も やるもんだ。


       
       その4輪が 揃いも揃って 母親似、顔の造りがというのではない。
       美容部員を 喜ばせるような 素地・・ なのである。


       
       しかし、ケーキを頬張る4輪の花を見ながら  こう言った。
       『ケーキを食べると 腹具合が悪くなるんだよ』と。 
       ただ ただ  にこにこしながら 眺めていた。



       最近 よく 父の夢をみる。
       綺麗にしていろよ・・と 言たいのかも知れない。



                 今日、お誕生日の方おめでとうございます
           
                  読んで頂き ありがとうございました。
                       小さなことを気にしないでね。
                      (自分にも言ってまーす)